そうだ……。
サラは、こういう性格だった。


他人の幸せをいつだって願ってる。
例えそれが最低な人間でも……。



「許して……くれるの?」



俺が聞くと、


「もちろん。だって、わたしだけ幸せにはなれないでしょ?」


少し首を傾げながら、サラは笑って言ったんだ。




ありがとう。
サラ……本当にありがとう。




大好きだったんだ――。



この瞬間。

俺の中で、無理矢理、止めていた時計の針が。

ようやく、動き出す事を許された気がした。




「彩人くんも、ちゃんと幸せになって」


サラと交わした最後の約束。



この約束だけは、絶対に守ろう。
心に固く誓った――。