「帰ろうか」

「うん」



彩人くんが差し出した手を、わたしはそっと、握り返した。


ぎこきなく、つながれた2つの手――。



しばらくして、彩人くんがぎゅっと、つないだ手に力を入れたんだ。


「彩人くん……?」


どうしたんだろ?
様子が、変。


わたしが不安に思っていると。



「サラの事、ごめん。心配かけて」

彩人くんが静かに呟いた。



わたしは、首を横に振った後。

ずっと気になっていた事を聞いた。



「あのさ、彩人くん?」

「ん?」


「ずっと聞きたかったんだけど……」

「何?」


「サラさんって、モデルの蓮見早羅さん?」



思い切ったわたしの質問に、驚いた表情になった彩人くん。


少しだけ考え込んで……、


「――――うん」


小さく返事をした。



そして――。


サラさんと再会した日の事を、話してくれたんだ――。