友達がいないまま迎えた2学期。

ずっと勇気を出せずに。

「仲間に入れて」の一言が、言えなかった。



どんなに寂しくても、「平気」って顔をして強がってた。

友達なんて、あきらめてた。




でも――…


『ねぇ、うちも一緒に、お弁当食べてもいい?』



銀杏の木の下、そう言って、隣に座ってくれたのが、

奏子ちゃん。



忘れるわけないよ...


涙が出るほど嬉しかったんだから。





「優音、あのね……うちがあの場所に行く決心をしたのは、

咲坂弟、天人くんの一言がきっかけなんだ」



「え――?」


「いつも1人で行動している優音の事、うちも気になってたのは本当。だけど、迷ってて……声をかけようか、どうしようか」



「……うん」



「そんなうちを見て、天人くんが言ったんだ」




『僕も、神崎さんの事が心配なんだ。余計なお世話かもしれないけど……

僕が神崎さんの立場だったら、きっと誰かに側にいて欲しいって思う』