わたしも、祈るよ。


天人くんの幸せ――。


そして。
彩人くんの幸せ――。



『神崎さん。休みが明けたら、
また見せてよ……本当の笑顔』

「うん」


『約束だよ』

「うん」



天人くんは、本物の王子様だね。

悲しみでいっぱいだった、わたしの心に。

温かい風を送ってくれた。



電話を終えた今、鏡を見てみると。

そこには「本当のわたし」が映っていた。




そして――。

何1つ、通じ合う事のない、それぞれの片想いが。

思わぬ方向へと、動き出す事になるなんて、この時はまだ知らなくて。


鏡の中、取り戻した本当の笑顔が輝いていた――。