『神崎さん、彩人と何かあった?』

「え――」


瞬間、顔の筋肉がひきつった。



「ど……どうして?」

『今日、家での彩人の様子……変なんだ』


ドクンっ。
様子が変って……まさか――――。



「……もしかして、元気がない?」


わたしが無理矢理、サラさんとの事を聞いたりしたから……。



『ううん。その逆で……昨日までは、何か悩んでたみたいだったけど……今は吹っ切れた感じで、すごく元気』


「……そうなんだ」


ほっ……。
天人くんの言葉に一安心。

良かった……落ち込んでなくて――。


だって、辛い過去を思い出させちゃったから……。



『だから、彩人は心配ないんだけど……問題なのは、神崎さんのほうだよ』


「え?」


わたしが――?
――どうして??



『学園祭の合間に、僕が神崎さんを彩人に会いに行かせて……帰ってきてからずっと……笑ってなかった』


「……え」


わたし……笑ってたよ?
ちゃんと、笑顔を――…


『ごめん、訂正する。一生懸命、作ってたよね、嘘の笑顔』


ドクン。
天人くん、気づいてたんだ……。


わたしが、心から笑えてなかった事に――。