世界中に散らばる他愛もない噂のひとつだった。

古代文明の王者の秘宝であるとか、それに似たようなもの。

しかしその噂はいたいけな少女の夢をくすぐった。

ある考古学者が見つけた資料によると、史情最も美しいとされている女王が自分の死に場所に選んだのが、当時世界で最も美しかったとされている山らしかった。

その場所を現在の位置関係に直して解読すると、何の変哲もない小さなこの山になるという。

そしてこの資料の続きには、なぜこの山が当時、世界で最も美しい山とされていたかというと、なんと金でできた山であると記されていたらしい。

つまりこの山を掘り続けると、いつか金でできた地表の層にぶつかる、ここを掘れば一攫千金のチャンスがあるかもしれない。

そんなどこが始まりなのか、信憑性がどのくらいあるのかもわからない噂、というかおとぎ話のような伝説に近いかもしれないものが、私の耳に届いた時、私は胸の内に希望の光を見出した。