白い約束

『あの日言えなかったこと、今言ってもいい…?』



病室で、恭亮が聞いた質問の答え。



『恭亮を好きな気持ちに嘘はない…。真剣に好きだった。もし、記憶を失うことがなければ、今も隣で笑っていたかもしれない。そうなることが、私の中での未来だった。でも、現実は違った…。』



こぼれ落ちる涙。



でももう目を逸らさない。



『どうしようもないくらい…違う人を好きになってた…。ごめんなさい…今でも私は…彼のことが好き…。もし彼が…他の人を好きでも…私の気持ちは変わらない。何年経っても変われなかった…。』



数年間の想いを吐き出した。



二人を愛し、二人に愛された。



決められなかった…どちらかを選ぶなんて…。



『俺、フラれる為にここに来たんちゃうねんけどな…。』



恭亮の言葉に、胸が痛む。



『…そんな顔すんなや。冗談やって。多希の本当の気持ち、聞けて良かった。これで踏ん切りついたわ。』



笑って私の髪をクシャッとする。