連絡先の書いたメモを手渡され、彼女はまた私のために涙を流した。 思い出せないのが本当に辛い、と思う瞬間だった。 いつか記憶が戻れば、必ず会いに行くよ。 新幹線に乗る瞬間、誰かに呼ばれた気がした。 振り返り辺りを見渡すが、誰も居ない。 発車時刻と共に、ドアは閉ざされた。 サヨナラ…。 私の生まれ育った街。 今は何の思い入れもないけれど。