まだそんな長距離は歩けないから、現場までは車で行くことになった。 窓に映る自分。 額にはまだガーゼ。 幸い、顔はそのキズだけ。 服を脱げば、まだあちこちに包帯とアザ。 足はまだ皮膚が剥がれている部分もある。 向かう途中の景色に、何一つ思い出はない。 車は停車した。 ゆっくりと降りて、自分の足で近付いていく。 フラッシュバック。 いつか見た、心理学の本の一説を思い出した。 その場所に行くと、その時の光景が鮮明に脳裏に映し出される。