『待って…。ここを離れる前に、行きたい場所があるの。』 二人の前で私は言った。 『何処だ?』 『……事故現場。』 二人の顔が歪んだのは言うまでもない。 『そこに行けば、何か思い出すかもしれない。』 母親は表情を曇らせていたが、父親は落ち着いていた。 『多希の望みは出来る限り叶えてやろう』と母親に話すと、渋々納得したようだ。 ごめんね…、お母さん。 もうこんなワガママ言わないから。