父親は気付いていた。 誰かが来るたびに作り笑顔。 たまるストレス。 はけ口が見つからない。 対人恐怖症に近いものがあった。 担当医は人と触れ合うことで、記憶を呼び起こすことができるって言っていたけど、今はリハビリより、人と話すことの方が苦痛だった。 『大学もまた、一からやり直せばいい。しばらくは東京に居るから、ゆっくり考えればいいよ。』 父親は優しく、私の肩に手を添えた。