白い約束

顔色ひとつ変えずに言うのは、得意な方だった。



『あの、少しだけ…お時間いただけませんか…?』



歩いて行ける距離の喫茶店で話を聞くことになった。



今日は早番だった為、時刻は昼の15時を過ぎたあたり。



いつもなら、この後は多希と逢って一緒に過ごすところだけど。



心配かけないように、“遅くなる”とだけメールを打って電源を切った。



『突然すみません。私、多希とは高校からの友達で、藤岡菜穂と言います。』



『担当医の、廣瀬 司と申します。』



『本当にお忙しいところすみません!少しお伺いしたいことがありまして、病院を訪ねさせていただきました。』



『冴嶋さんの……ことで、ですよね…!?』