簡単な診察のあと、脈を測る。



よし、正常だ。



チラッと背後を見て、看護士が他の作業に気を取られていることを確認する。



ポケットから取り出して、



脈を測るフリをして、多希の手に握らせた。



不思議そうに俺を見て、手の中を確認する。



シーって声を出さないように指示。



ヤバいな、こういうことすると、多希は泣く子だったんだった。



結局カーテンを閉め、看護士に席を外すよう促した。



頭を撫で、泣きやむのを待つ。