「わっ!!す、すみません!!」

先生から離れようとするが、電車は満員。

一度崩したバランスをたてなおすのは難しい。


「いや、俺は大丈夫だから。

無理に動こうとするな。周りの人達にも迷惑だぞ?

しばらく俺にくっついてろ。」


「………はい。

ありがとうございます…。」




………あなたは、何て残酷なのでしょう。


私に期待を持たせるような言動ばかりして……。



時々、あなたに奥さんがいるということを忘れてしまいます…


《神様…今だけ少し……時間を止めてください。》

私は心の中で密かに、そう願った――。