「触られてたよな?並河。」

あなたは私に確認をした。

その目からは痴漢に対する怒りがうかがえる。



「は…はい。」
小さな声でそう言ったのを聞き逃さず、次の駅で降りるように私とおじさんに指示をした。



そうして、次の駅で降り、事務所に向かう。

そこでおじさんは自分がしたことを認め、「魔がさした」などと、ありきたりな言い訳をした。


駅の事務員さんは警察に連絡しようとしたが、私はそれを止めた。

「おじさん…家族は?」


「……妻と息子が…」


「会社ではどんな地位なの?」


「最近、課長になれて…」