だが、天花に花の植え替えや手入れをやらせて、自分は草取りしかやっていない。

「うちではアレが普通なんだよー。あっ、でも外に吊るしてたけど、家の中ではやってなかったなー」

「全然普通じゃないじゃん!!　外でやってたものを部屋の中でやるなっ!!」

「直様ー天花さーん！　一大事ですわ!!　私とっても恐ろしい事を耳にしましたの！」

　二人で言い合いながら手入れをしていると、ゆかりが息を切らして走って来た。

　どれくらい恐ろしい事なのかわからないが、ゆかりのドリルは走って来たせいで乱れている。

「恐ろしい事ー!?　なになにっ!?　あたしにも教えてー」

「ええ、深夜十二時にこの花壇に来ると幽霊が出るらしいんですの。ここ最近は校内の見回りを生徒達でやるようになってますから、その時に見たって人が何人もいるんですって」

　ゆかりは真剣な顔で二人に説明してやった。

　最近、自分達の事で精一杯だった二人は、幽霊の噂など耳にしているはずもない。