天花が編入して来て約一ヶ月が経とうとしている。

 お嬢様だらけのこの学園で、天花の変わり者という地位に、やっぱり変化はなかった。

 廃部寸前だった園芸部に、皆の憧れの的、水樹直を入部させたという話は、みるみるうちに中等部の生徒の間で話題になった。

 それだけでなく、直に一目会いたいと部屋まで訪ねて来た生徒は、部屋に吊るされてあった玉ねぎを見て引き返した。

「天花のせいで俺のイメージがどんどん悪くなっていってないっ!?」

「そうなのー? 気のせい気のせーい」

「気のせいなんかじゃな―――い!! 後ろ見てよ! 新聞部に追いかけられてるじゃん」

 最近では二人で花壇の手入れをしていると、いつも誰かが付いて来る。

 それは新聞部であったり、直のファンの子であったり、いろいろだ。

「昨日の学園新聞なんか部屋の写真まで載ってたんだよ! 天花が玉ねぎなんて吊るすから」

 直は文句を言いながらも手を動かす。