頭から何本も突き出ているドリル。それを飾る大きなリボン。

(これが噂のお嬢様ってヤツかっ!!)

 漫画でしか見た事のない女の子が今自分の前にいる。

「お嬢様ですか!?」

「…………」

 葵の唐突な質問に、女の子は黙りこんで動かない。

「……ふふ。ふふふふ。おーほっほほほ!! よくぞ気付いたわね、庶民編入生。私は月若葉ゆかり。正真正銘のお嬢様よ」

 今は静かなホームルーム中のはず。

「おお!! やっぱり。……じいちゃん、ばあちゃん。あたしの目は間違ってなかったよ」

 天花は感動して、遠く離れた実家にいるじいちゃんばあちゃんに想いを伝えた。

 テレパシーで繋がってると思っているのだ。

「じいちゃん? ばあちゃん? それを言うならお祖父様、おばあ様ではなくて?」

「お祖父様々っ!? そんな呼び方したら、じいちゃん失神しちゃうよ!!」

「“じいちゃん”なんて言った日には、私のお祖父様だって失神しますわ!!」