ストロベリー革命

 ゆかりの体にピッタリと抱きついて離れない。まるでコアラのようだ。

「ねぇねぇー、今日ね、学園の中に畑を発見したんだけど、誰が使ってるか知ってる?」

 天花は抱きついたまま、目をパチクリしながらゆかりを見上げて聞いた。

「それは多分園芸部ではなくて?」

「園芸部ぅー? じゃあ園芸部にお願いしたらあの土分けてもらえるの?」

「さあ? まさか天花さん、土いじりをやろうとお思いなの?」

「うふふーッ、その通りでーす」

 土を触る事が何よりも好きな天花は、学園内で畑を見た瞬間、田舎娘の血が騒ぎだした。

 地元ではじいちゃんとばあちゃんにみっちり仕込まれ、その上趣味が農業というだけあって、天花の腕はまさにベテラン級なのだ。

「や、やめたほうがよくてよっ。手が汚れてしまうわ」

 農業とは無縁のお嬢様は、天花の田舎的思考が理解出来ない。

 買えば早いものを、何故自分の手を汚して育てなければならないのか、考えれば考えるほど、ゆかりにはよくわからなかった。