(よく言うよ、人の気も知らないで)

 直の気持ちを知らない天花は一人豪快に笑う。

 笑い終わると直のほっぺたを両手で軽く叩き、顔を自分の方へ寄せた。

 二人の顔の距離は約五センチ。

「ななな、何っ!?」

 天花はそのままジーッと直の瞳の奥を見つめて、逃そうとしない。

「元気になった? 直が辛いとあたしも辛いの。わかったー?」

「うっ、うん。わかった」

「よろしい」

 納得した天花はやっと顔から手を離し、笑顔に戻る。

 長い時間、天花に見つめられていた直は放心状態で、何が何だかわかっていない。

 それぐらいドキドキしていたのだ。

「なんたってあたし達は相思相愛だからねぇー」

「……天花、それ意味わかって言ってる?」

「ううん、わかんなーい。だから教えてー」

 直の頭痛の原因はいつも決まってこの鈍感田舎娘。