ストロベリー革命

「直、もしかして今好きな人いるの?」

 天花はベッドの上に座っている直のそばまで近づき、顔を除き込んだ。

「別に」

 張本人にそんな事を言われては返す言葉もない。

(お前だよ! って突っ込める勇気があればな……)

 鈍い鈍いとはわかっていたけれど、好きな人に好きな人を聞かれるなんて悲しすぎる。

「頑張ってね!」

 チーン……。

 直の頭には恋の終わりを告げる鐘が響いた。



 翌日、昨日の衝撃的瞬間を見ていたのは、直だけでないという事がわかった。

 何故なら、中等部中で怜華のキス事件が噂になっているのだ。

 他に誰が見たのかわからないけど、生徒達は怜華を一目見ようと二年三組の教室まで来ている。

 当の怜華は人だかりをまったく相手にせず、一人黙々と読書をしている。

 同じクラスである直は、少し離れた席からその様子をハラハラしながら眺めていた。

 眺めるだけしか出来ない。

(だから俺知らないって言ったのにっ!)