ストロベリー革命

 直はため息混じりでベッドに腰をおろす。

「ホントはやった事なんてないもんねー。だって初恋ってヤツもまだだもーん」

「……だと思った」

「直はー? 直は好きな子とかいないのー? ここには女の子がいっぱいいるから選び放題じゃーん。やったねっ」

 語尾に音符マークでもつくかのような無邪気な笑顔を見せて、自分に好きな子を聞いてくる。

 その笑顔を見ていると、なんだか切なくなった。

(ないな。俺の事が好きだったら、こんな事絶対言わないしね……。やっぱりないな)

 気になる子の前で“選び放題じゃーん”なんて誰が言うだろうか。

 終いには“やったね”ときた。

 今のところ、天花が直の事を恋愛対象として好きという可能性は低い。

 というより、可能性はないに近い。

(このバカのせいでなんか泣きたくなってきたー)

 封印したはずなのに、前に出ようとする気持ち。

 もう自分では抑えられないかもしれない。