一騒動終えて、季節は冬間近。

 その後二人は何事もなかったかのように、学園生活を送っていた。

 しかし部屋には玉ねぎ以外にも、おかしな物が増えつつある。

「ちょっと……何やってんの」

 直の目の前では、天花が柿の皮を剥いている。

 そのまま食べるのかと思いきや、柿のへたの部分をヒモで縛り、それをずっと続けている。

「コラ天花っ!! 変な物ばっか増やすな!」

「変な物じゃないよー。干し柿作る準備してるんだってばー」

 中等部のお姫様である直の部屋は、天花がやって来てから田舎くさいおばあちゃんの家のように変化してきた。

 可愛い直の私物で埋まっていた部屋なのに、周りを見渡せば、節約中で貧乏生活を送っているのかと思えてくる。

「ここにあった俺のぬいぐるみは?」

「あー、それなら欲しいって子がいたからあげちゃった。ごめんねぇー」

「ごめんで済んだら警察なんかいらないんだよっ!!」

 お気に入りのぬいぐるみを勝手に人にあげた天花を、直は恨む。