女子校、それは女の子しか足を踏み入れてはいけない乙女の園。

 ここ私立茶山花女学園中等部も男子禁制である。

 学園から男が見つかれば、重い処分がくだる。

 それに茶山花女学園には姉妹校の男子校が隣に存在するため、男はそっちに行け、という事なのだ。

 “女の子は女らしく”それがここでの決まりであり、校則でもある。



 蝉の声も小さくなり、暑い暑い夏も終わりに近づいていた頃、その絶対的な決まりを破る者がやって来た。

 黒河天花、中学二年生。

 超ド田舎出身。正真正銘のド田舎娘。

 うるさいくらいの元気っ子。青い瞳に、オレンジ色の髪。

 左目の下になきボクロが一つ。

 頭の上の方で長い三つあみをして、お花のゴムで飾っている。

 家族は大好きなじいちゃんとばあちゃん、仕事のため外国に行っている父ちゃんと母ちゃん、の五人家族。

 趣味は農業、家庭菜園。

 母ちゃんのお願いで、見知らぬ全寮制女子校に一人でやって来た。