執事と共に聖夜を。

困惑したように春樹は眉を寄せていた。


「これは、大事なものよ。だから、貴方にあげたい」


まっすぐと春樹を捕らえてどこまでも通る声でいった。


「もちろん、いらないなら無理強いはしないけど」


春樹は首を振った。

そしてしばし顔を伏せる。


「春樹?」


春樹は顔をあげた。


「ありがとうございます。最高のプレゼントです」


――覚悟を決めた顔に見えた。

この時計を手にする覚悟を。


「これからも、貴女と共に」


そう言って春樹は、何時になく丁寧に丁寧に、頭を下げた。

恵理夜は、面映いような気持ちを抱えながら笑った。