執事と共に聖夜を。

「これは?」


春樹から箱を取り上げ、中を覗き込むともう一つの袋が出てきた。


「2B弾、ですね」


小さな固まりを手に春樹はそう告げた。


「何、それ?」

「かんしゃく玉とそう変わりません。擦ると着火して音が鳴るものかと」

「擦るだけで着火するの?」

「昔のマッチをご存知ですか。今のマッチみたいに箱に擦らないでも発火するものがあったんですよ」

「なるほど、その原理ね」

「はい。気をつけてください。ガラス瓶位は割りますよ」


恵理夜は春樹の忠告にもいたずらっぽく笑って壁に擦りつけた。

白い煙が出る。

やがて煙は黄色に変わり、


――ぱぁん


色とりどりの火花が一気に散った。


「綺麗……」


先程のかんしゃく玉を固めたような一瞬の光りに、恵理夜が目を輝かせる。