「最後の#とクイーンは?」

「クイーンは駒のことでしょう。そして、#はチェックメイトの意味です」

「最後だけ、ここだけ数字じゃないからアルファベットがわからないのよ」

「クイーンが動くことだけわかっていれば充分です」


春樹は、迷うことなくhの4にクイーンの駒を置いた。


「これで、チェックメイト。黒の勝ちです」


鮮やかな動き。


「でも、チェスがどんな意味を持つのかしら」


恵理夜は、部屋を見渡せる位置にある机から部屋全体を見渡し、悟った。


「これだわ……」


春樹は首をかしげた。


「この、絨毯よ」


モダンな雰囲気をかもし出す市松模様の絨毯は、丁度チェスの盤と同じように8×8のマスを描いていた。