恵理夜は悪戯に、わからないならもっとわからなくなればいい、と数字を書き加え始めた。


――白a4・黒e6・白f3・黒d5・白g4・黒


「そして、最後のクイーンのカセットと#の謎ね」


――白a4・黒e6・白f3・黒d5・白g4・黒Queen#


紙の端に、そう走り書きをした。


「そういえばお嬢様。こちらのチェス盤はお嬢様のお部屋に……」


と、邪魔になりそうなチェス盤を動かそうとした春樹の動きが止まった。


「春樹、どうしたの」


春樹の目は、恵理夜の走り書きした紙に釘付けになっていた。


「素晴らしいです……貴女の推理は間違っていなかった」

「どういうこと?」