「お手上げだわ……」


恵理夜は、春樹の入れたジンジャーティーを口にしながらそう呟いていた。


「流石お嬢様のご両親とだけありますね」

「何が言いたいのよ」

「いえ、他意はありません」


恵理夜は春樹を睨みながら、もう一口お茶を口にした。


「冷えは、大丈夫ですか?」

「もうだいぶ良くなったわ」

「……まだ、終わりにするつもりはありませんよね」


恵理夜の体調を気にする言葉だった。


「……せめて、解答に繋がる引っかかりができるまではやめたくないのよ」


春樹は、冷たい恵理夜の手を取った。


「何を、お探しなんでしょう」


まっすぐと、射抜くような目で恵理夜を見ながら問う。


「え……」

「避けていたこの部屋に来る、ということはここに何かがあるのでしょう」


優秀な執事の鋭さには叶わない、と思った。