執事と共に聖夜を。

「並び順が、妙ですね」


春樹の言葉に、恵理夜も頷いた。

数字順でも、アルファベット順でもない並びに、不自然さを感じた。

ビデオのラベルもピアノの鍵盤のように白と黒が混ざっていた。

さらには、ビデオとビデオの間にカセットが挟まっていたりと、ひどく雑然としていた。


「ばらばらのビデオテープの数字に意味があるのかしら」


恵理夜は、ビデオテープの数字を見た。


「4・6・3・5・4・#……意味がわかりませんね」

「2本づつ区切るようにカセットが挟まってるのも気になるわ」


しかし、数字にも頭文字にも意味があるとは思えなかった。


「このカセット、ビートルズの曲ばかりですね」


先ほどのカセットの並びがおかしかったのもビートルズだ。

関係がないとは思えない。


「とりあえず、書き出してみましょう。紙とペンが欲しいわ」

「かしこまりました。すぐにご用意いたしましょう」


恵理夜は、書斎の重厚な椅子に座った。

そこは、部屋が一望できる場所だった。