執事と共に聖夜を。

「さて、これはどこの鍵でしょうか」

「多分、大きさ的には机の引出しの鍵だと思うの」

「開けてみましょうか」


それらの鍵は、机の引き出しにぴたりと収まった。


「綺麗……」

中から出てきたのはチェス盤だった。


「象牙の駒に、大理石の盤ですか……」


春樹も感心したように見ている。

確かに、最高級の逸品だ。


「これは、メモですか?」


取り出したチェス盤に、メモが挟まっていた。


『チェス盤をひっくり返せ』


父、理一の字だろう、潔い走り書きだった。


「何かの皮肉かしら?」

「さあ。もうひとつの引き出しを開けますよ」

「うん」


もう一つの引き出しには、ビデオテープとカセットが入っていた。


「ビデオにカセット……時代を感じるわね」


ビデオは、主にアーティストのPVなどだった。