執事と共に聖夜を。

「どうか、体を大事にしてください」


春樹は、恵理夜の手を握った。

やはり昨日と同様に冷え切っていた。


「それから、お願いですから、こういうときは私を呼んでください」

「……自分の力でやりたかったのよ」

「これも解けないのに」


鍵の絡まった知恵の輪を揺らした。


「解けるっていうの?」

「そんな恐れ多い。お嬢様がご自分の力で解こうとしているものに横槍を入れるなんて」


そう言いながら、目元にはわずかな笑みがある。


「……私も、休み返上で働かせるつもりはないわ」


恵理夜も、負けじと微笑んだ。


「休みは、終わりよ。今から、私のために働きなさい」


傲慢な言葉。


「貴女が望むのなら」


だが、春樹は満足げに頭を下げた。