「学校は、もう冬休みになったようだね」


それを察したシラヤナギが、穏やかに話しかけてきた。

恵理夜は極道には関係ない、ただの女子高生だった。

シラヤナギも、それをわかっているからこうして普通に接した。


「なんとか、無事に」

「遊びの予定は?」

「特には」

「それは残念だ」

「思っていもいないのに」


シラヤナギは、ばれたか、と笑った。

恵理夜は、人の嘘を見抜く不思議な勘を持っていた。

以前は、シラヤナギには通用しなかった勘だが、先の事件から成長したのか、急にわかるようになった。


「恵理夜の勘も、冴えてきたみたいだね」

「ついでに、何かを企んでいるのも感じますよ」


シラヤナギは目を丸くし、頭を掻いた。


「いよいよ、君の前では嘘はつけなくなったね」

「今の叔父様があからさまなだけでしょう。いつも、何を考えてるか分からないのに」


実際、シラヤナギに関してはその勘が働かないことも多かった。