――夕食後、恵理夜は広すぎる居間で一人、食い入るようにテレビを見ていた。



「恵理夜、珍しいね。君がテレビを見ているなんて」

「叔父様」


声をかけてきたのはシラヤナギだった。

祖父の右腕を務め、両親のいない恵理夜の父親代わりでもあった。


「そのままでいいよ」


テレビを消そうとした恵理夜を制して、その隣に座った。

30代半ばの細面で聡明な顔は、とても極道の人間とは思えなかった。


「今年の振り返りニュースか」

「これくらいは、見ておかないと年明けの社会科のテストに響くから」

「真面目だねぇ」


シラヤナギはやさしく恵理夜の頭を撫でた。

しかし、ニュースは明るいものではなかった。


――政治の汚い話。外の国で爆撃。紛争は終わらない。小さな少女への強姦殺人。芸能人の離婚。虐待死。


あまりにも暗くて、あまりにも汚い情報ばかりだった。

そして、合間にはさまれるCMも、一人の人間が何百人もの人間を切り屠っていくTVゲームだったりした。


恵理夜は、そっと顔を覆った。