「それじゃあ行ってくる」

「はい、いってらっしゃい」


旦那様のお見送りは毎日の日課。


靴を履いてあたしを見つめるまっすぐな瞳は
簡単にあたしをドキドキさせる。



完璧すぎるくらい整った顔立ち。

あたしを見つめる真っ黒な瞳。

そしてあたしを包み込んでくれる体。


「ほら、柚子」



すっと顔を前に出して言う翔さん。

その瞳に更に心臓のドキドキが加速していく。


ねぇ知ってる?


翔さんのその瞳が

ううん、全部がそうやってあたしにいつもドキドキを与えちゃうの。


「え、今日も?」