おじい様の声は震えていて

何故か分からないけれど嫌な予感がした。


「どうしたんですか?」

涙を拭いて努めて冷静に返事をすると。


「頼む!翔を助けてくれ!!翔を!!柚子さん、頼む!!あんたしかいないんだ!!」


いきなりの言葉にどうしていいのか分からなくなってしまう。


「全て私の責任だ。翔がこんなになってしまったのも..危篤状態なのも、全部全部」


き..とく..?


翔さんが危篤状態?


「嘘..ですよね」

「嘘じゃない!!翔は..ああ!!私の責任だ..頼む!!来てくれ!!今すぐに
翔の元に..頼む!!」


そんな..でもあたしは


チラッとお母さんを見る。


「柚子。私言ったわよね?あなたに覚悟があるなら。戻りなさい」

「お母さ..」

「大丈夫よ」

その言葉は何故か説得力があって。

安心したあたしはこくんと頷いて、それから家を飛び出した。