「柚子」


あたしは..本当にバカだ。

幼くて

子供で

本当に間抜けで。


翔さんの気持ちに、どうして気付いてあげられなかったんだろう。


どうしてあんな風に言われて簡単に信じちゃったんだろう。



だって翔さんはいつだってあたしの事を想ってくれて


一番に考えてくれて。


いつもあんなに愛をくれたのに。


「っく、ひっく..かけ、るさ..」


会いたいよ

会いたいよ。



とめどなく流れる涙をお母さんが拭ってくれる。


「柚子の気持ちも本物なのね」

お母さんが困ったように笑ってそれからあたしを抱きしめた。