「翔さん」


レストランに入ろうとする翔さんの後ろ姿を見つけて追いかける。

好きな人を見付けるのは簡単すぎて。


そして緊張した。


「柚子・・なぜここに」


振り返った翔さんが驚いた顔をしてあたしを見つめる。


「はっきりさせに来たんだよ。そしたら柚子も気が済むだろ?」

後ろから聞こえた声。

中村さんが庇うようにあたしの前に動いた。


「君も柚子につきまとうなんて、相変わらず暇だな。三橋に戻らなくてもいいのか?」

「戻るさ。お前のおかげでな」

「そりゃあどうも」



「翔さん、あたし」

そこまで口にすると

「柚子、帰りなさい」