中村さんの怒った声が聞こえる。

「そんなの」

「直接聞かなくていいのか?」


聞きたいよ。


だってあたし達夫婦なんだよ?


勝手に離婚を言われて納得出来るわけないじゃない。


「恐いか?」

「え?」


顔を上げると中村さんがそっとあたしの手を握ってくれる。


「震えてる」

言われて初めて気が付いた。


手が...ううん手だけじゃない。

体中が震えて

そして一筋の涙が頬を伝って落ちる。


「俺が付いていくよ」

「中村さ..」

「だから今はゆっくり休め」

そっと肩に手を置かれて
そのまま優しく抱き寄せられる。


反対の手はしっかりと握ったまま。


「休め。俺が付いてるから」


こくんと頷くと

再び瞳を閉じた。