そんなの
「イヤ!」
「俺も!!」
がたんと席を立つあたしと祐くんに
「全く仕方ないな」
中村さんまで立ち上がった。
「何か案はあるの?」
お店を出て歩き出すあたし達に中村さんは
「あれだよ」
そう言って商店街のお店の窓に貼ってある一枚の紙に指を差した。
「あれって..」
「二人きりになるには絶好のチャンスだろ?」
中村さんが差したのはお祭りのポスター。
そっか、
うちの地元の夏祭りにはあるジンクスがある。
両想いの二人が手を繋いで神社まで目を瞑って上る、
そして今の時期にだけ置いてある一枚の紙に二人の名前を書いて
奥にある植えられてる木につけるんだ。
それが出来た時初めて二人は本物の恋人同士になって、
いつまでも幸せになれるらしい。
これだったらきっと
うまくいくかもしれない。
でも..
「理恵ちゃん..行くって言ってくれるかな?」
急に不安になってしまう。
だってあたし達昨日喧嘩したばっかりだし。
「それをやるのが友達の役目だろ?」


