電話を切った後、窓から見える景色に視線を向けると
後ろから榊が声をかけてきた。
全く、人の電話まで盗み聞きなんて。
「何が?」
とぼけたフリもさすがに榊には分かってるだろう。
それでもそこまでしたいのは気分を紛らわせたいのかそれとも・・
「会社の事でございます。何故説明をしないのですか」
「説明、ねぇ」
「本物の夫婦であるなら隠し事は」
「分かってるさ」
「でしたら..」
「ストップ」
榊を制して椅子に座る。
「翔様、柚子様は、あなたの奥さまはそんなに弱い方ではないと思いますが」
「分かってる。でも..」
そこまで言って口を閉じる。
「翔様・・」
「一度相談してみたらいかがですか?」
「あぁ、そうだな」


