遠くから先生達が生徒に対して説明する声と、プリントを俺達が拾っている音以外、何も聞こえない。

《ああ…時間が止まればいいのに…。》

俺は以前から秘かに好きだった遠藤を目の前にしてそう思った。


遠藤と俺が二人きりでいる。そんな事実に頭が追いつかない。


遠藤は顔が整っていて、性格も明るく気さくであった。それに頭脳明晰。


学校中の男子が惚れてもおかしくはない。



そんな遠藤と悪ガキの自分が言葉を交わし、同じ作業をしているのだ。


信じられるはずがなかった。