意地悪てぃーちゃー

「話逸らすな。お前、心ちゃんの事好きやろ?なんでそれを認めんの?教師やからか?」


俺は心の事が好きなんか?
いやいやいや…
心は生徒や。
俺は教師で、高橋を裏切ることなんて出来ひん。


「省吾。心は俺の生徒や。それ以上でも以下でもない。それにな、アイツは高橋のやからな。」


「はぁ。直人から、その話聞いてるよ。心ちゃんやったんかぁ。でもなアイツはどんな形であれ、手を離したんや。関係ない。じゅっくり考えてみ。あっ…また心ちゃん連れてきてな。まぁ連絡待ってるわ。」


そんな省吾の言葉が、俺のココロに染み渡ってきた。
やっぱ連れっていいな。


俺は省吾にお礼を言って、店を出た。


車に乗ると、荒木ちゃんと心が何か話してたみたいで、心は難しい顔をしていた。


「井澤先生。ごちそうさまでした。」


「あっ先生~ごっそーさん。」


二人の笑顔を見て、俺も笑顔になった。
今日来て、よかったな。


「どういたしまして。さて、帰りますか。」


そして俺は、車を走らせた。
行きとかわらず、車内は騒がしかった。

しばらく走ると、学校の前に着いた。
俺は荒木ちゃんだけを降ろして、心を家まで送って行くことにした。


二人っきりの車内は静かに感じた。
あぁ~省吾にあんなん言われたから、無駄に緊張するやんけ。
くっそー。


「心~省吾がまたおいでやって。」


「やった~。先生また連れてってなぁ。」


喜びすぎやろ…。
心の笑顔を見てたら、俺は少し意地悪したくなった。