意地悪てぃーちゃー

うちは井澤を、ただただ見つめるコトしか出来ひんかった。


うちの視線に気付いた井澤は、優しく笑いながらうちを見た。


「心。

俺はお前と、普通に今まで通り卒業を迎えたい。

でも心はどうしたい?」


いつもそうや………
井澤は、うちの気持ちを1番に考えてくれてる。

やからうちも・・・


「先生?

うちも先生と同じ気持ち。

やけど先生の立場が悪くなんのやったら、我慢する。」


本音やった。
井澤の立場が悪くなるんなら、うちは我慢出来る。

だってホンマに、井澤は大事やから………


「…ったく。
んな泣きそうな顔して、強がんな。

教頭先生。
これが僕と北沢の気持ちです。

今まで通りで、卒業迎えさせて下さい。」


井澤が教頭に頭を下げた。


教頭はため息を一つついて、話し始めた。


「2人の気持ちはよくわかりました。

北沢さん。
今日は帰りなさい。

井澤先生と荒木先生には、少しお話があります。」


うちの中に、不安と違和感だけが残った。


「心~。
早よ帰らな、お母ちゃん待ってんぞ。

大丈夫やから。
今日は笑顔で家に帰り。

なっ?」


うちは頷く事しか出来んくて、そのまま荒木ちゃんに指導室の外に連れて来られた。