意地悪てぃーちゃー

うちは行きと同じように、後ろに座った。


「なぁ北沢。最近どうなん？」


「んっ？諦めた。今は恋愛してる場合ちゃうしな。荒木ちゃんありがとうね。」


荒木ちゃんはビックリした表情を浮かべた。
そして少し切なそうやった。


「そうか。気持ちは一生伝えんつもり？」


「うん。だって、井澤にとっては迷惑なだけやん。やから、伝えん。」


荒木ちゃんは深呼吸をして、ゆっくり話し始めた。


「なぁ北沢。お前の決断は、世間的には素晴らしいと思う。


…でもな、それは逃げや。

迷惑やから？笑わせんな。
逃げんなよ…。

過去形でもええから、お前の気持ちは伝えろ。」


荒木ちゃんの言葉の一つ一つが、心に突き刺さる。
何にも間違ってないから…。


「ありがとう。目覚めた。卒業の時に伝える。」


「よしっ。言うとくけど、俺はいつも北沢のこと応援してるからな？おっ井澤先生戻ってきたぞ。」


荒木ちゃんがそう言った瞬間、井澤が車のドアを開けた。


「さて、帰りますか。」


荒木ちゃんはそう言って、車を走らせた。
車内はいつも通り、盛り上がっていた。


そしてうちは家の近くまで送って貰って、井澤と荒木ちゃんと別れた。