「楢澤さん、楢澤さん」


「えっ?」


「楢澤さん、ちゃんと授業聞いてる?ここテストに出るよ?」


空をぼんやり眺めていた私に先生は注意を投げ掛ける。


「あ、すみません」


少しほくそ笑みながら答える私は毎日のように心でため息を吐く。


「今日は実験するからね。ボーッとしてたら危ないよ」


まだ会話続いてるのかと悪態つきながらもヘラヘラと笑いながらやり過ごす。




何故今日はこんなに機嫌が悪いのかというのは他でもないこの化学教師のせい。


いっつも周りに女子を囲って休み時間にお喋りを繰り広げる。それが何故かイラッとくるのだ。


それだけじゃない。
何かとこの化学教師、霧生櫂は私をこき使う。