紅龍~キミと出逢えた奇跡~



ナルのその声から約五分。



フェラーリが、でっかい倉庫の前で止まった。



ここが…紅龍の倉庫…


お兄ちゃんが、死んだ場所…




キョウが降りて、その次にあたし、ナルがフェラーリから降りた。



見れば見るほどでかい…



中からは、楽しそうな笑い声や話し声が聞こえてくる。



そんな楽しそうな倉庫とは裏腹に、あたしは震えていた。


「…空?」



そんなあたしに気づいたのは、キョウだった。


「どうした?」


「……怖い…」



あたしにしては、とても弱々しい声だった。



「…やっぱり、俺らが怖い?」


「……っ…違うの…」



キョウたちが怖いなんて、思ったことないよ。



「だってここは…お兄ちゃんが死んだ場所でしょ…?」


キョウはあたしの気持ちに気付いたのか、悲しい顔になった。


でも。


いつまでも、立ち止まってられない。



真実を知る為には、前に進むしかないんだ…