「…じゃあ、紅龍が嫌いって…」


あたしのお兄ちゃんを奪ったからだよ、ナル。



「…あたしには、お兄ちゃんしかいなかった…たった1人の、大切な…大切な家族だったのにっ……」



あたしの心の支えは、お兄ちゃんだった。


あたしにケンカを教えてくれたのもお兄ちゃんだった。


「……空ちゃん、やっぱり…倉庫に来て…その時の事を、詳しく話すよ。」


“あの事件”の事を…?


確かにあたしは、お兄ちゃんが紅龍に入っていてケンカの最中に殺された、ぐらいしか知らない。


「……分かった。…けど、条件がある。」


「…何?」


「…紅龍の総長を…一発殴らせて。」


そうじゃないと、気がすまない。


「…ぷっ!…わ、分かった。連絡しとく。」


…そこ、笑うとこ?



ナルの笑いのツボ絶対おかしいよ。