「…空ちゃん…お願いだから、理由を教えて?」


「もし、空に紅龍の誰かが何かしたんだったら、謝るから…」

「……謝らなくていいから、その代わり…あたしの…あたしのお兄ちゃんを返してよっ!!」


涙が溢れた。


ねぇどうして…?


どうしてお兄ちゃん、逝っちゃったの…?


まだまだ話したいことあったのに。


相談したかったのに。



お願いだから…返して………


「……空ちゃんのお兄さん?」

「…もしかして、敦-アツシ-さん…?」


「……っ…そうだよ…」



二人の驚いた顔が霞んで見えた。


“返して”何て無理に決まってる。



もう、この世にいない人なんだから。



でも、どうしても返してほしかった。



もう一度、お兄ちゃんの笑顔がみたい…