響け、空に―

「これはね、私の見解なんだけど、本当に好きな人の好きな部分を聞くと、人は一つしか言わないの。

『わからないけど好き』とか『全部が好き』とか……

一つずつ挙げても、挙げてるうちにだんだん些細な部分に入ったりすれば本当に好きなんだと思う。


でもあなたは……違うでしょ?女の子の方が『全部』だった。」


「………」

俺は何も言わなかった。

いや、言えなかった。


その通りだから。俺は、自分自身を騙していたんだ。

俺は笑美子が好きだ。

「……でも」

俺が口を開くと先輩は静かに聞いてくれた。